残りの日々を楽しく

そろそろ終活の季節になってきました。残りの人生を前向きに生きていきたいと願って名づけました。

長谷川櫂さんの「日本人の暦」

暦や季節、季語のことにたいへん興味を持って、いろいろと本で知識を得ているのですが、最近、とても納得の本を見つけました。
それは、長谷川櫂さんの「日本人の暦~今週の歳時記~」2010年10月・筑摩書房発行です。

「はじめに」の「太陽暦二十四節気」でつぎのように書かれています。

立春、雨水、啓蟄・・・とつづく二十四節気は旧暦時代から行われてきたので、月の満ち欠けにもとづくものと勘違いしている人がある。
これは誤りで二十四節気は太陽の運行をもとに1年を24等分したものである。
旧暦時代、なぜこのような太陽の運行にもとづく二十四節気が併用されたか。
それは旧暦が月の満ち欠けをもとにしているため、放っておくと、1月、2月・・・という月のめぐりが春夏秋冬という季節と大きくずれてしまうからである。(略)
これでは暦といっても農作業や生活の目安にできない。
そこで旧暦では月のめぐりが季節から大きくずれてしまわないように、二十四節気をもとにして5年に二度の割り合いで閏月を入れた。(略)
こうして月のめぐりと季節のずれを修正していたのだが、それでも1か月近いずれはやむを得なかった。(略)
旧暦時代の人々は月のめぐりよりは二十四節気によって季節を知ったのである。旧暦時代に培われた日本人の季節感もまた二十四節気をもとにしている。

二十四節気はその名のとおり二十四の節気があるのだが、基本になるのは二つの至と分(二至二分)と四つの立(四立)である。
二至二分は夏至冬至春分秋分
夏至は昼がいちばん長く、冬至は夜がいちばん長い日である。
その中間にある春分秋分は昼と夜の長さが同じになる。
四立とは立春立夏立秋立冬の四つ。
これが春夏秋冬の節目になる。
二至二分の正方形に四立の正方形を重ねると、八角形の花の形になり、この八つの頂点の間にほかの節気が二つずつ入る。
節気の間隔は約15日である。

そして、この本については、次のように説明されている。

日本人は三つの時間構造を生きている。
明治6年に採用された「太陽歴」、それまで日本文化の土台となっていた「太陰太陽暦」(旧暦)、そして太古の「太陰暦」(太古歴)。
本書では、1年を52週に分け、新旧の太古の暦に添って年中行事やしきたりを見直す。
さらに、週ごとに代表的な季語を選び、その意味と例句を紹介。
千年の歴史を遡って日本文化固有の時間を読み解き、このゆたかな季節感を慈しむ。

前回、井泉水の季語についての話をのせましたが、私は季語・季節感を否定しているわけではなく、反対に季語・季節感にとても興味をもっています。
言いたいことは、「俳句に季語を使うな」ということではなく、「季語で俳句を作るな」ということです。