残りの日々を楽しく

そろそろ終活の季節になってきました。残りの人生を前向きに生きていきたいと願って名づけました。

木村緑平さんの句

木村緑平の句集に「雀の生涯」昭和43年発行があります。
大山澄太さんが編集したもので、その後記には次のように書かれています。

題して「雀の生涯」これは既刊の「雀のことば」「小さいいのち」等と同じように、緑平さんから任されたつもりで私がつけた名である。
前編は岡崎林平氏が田川の真岡鉱業所時代に、お出し下さった「雀」の中の雀の句を主とし、それに、それ以前のもの及びその後の句集の中の雀の句を拾ったものである。
後編は「小さいいのち」以後つまり昭和39年から42年末までの作で、緑平みづから句帳にきちんと整理・浄書さしていた、いわば遺稿である。

また、別のところでは・・・
前編には今まで出して来た句集の中から雀の句だけを6百句集録する。
後編には「小さいいのち」以後の作品を5百ほど収めるつもりである。
そして今年の1月の日記全文を「十柿舎日記」巻43の中からそのまま書きぬいて載せることにした。

それで、私は、緑平さんの「小さいいのち」を探していたのですが、図書館には、木村緑平さんの本は「句集すずめ」昭和25年非売品しかありませんでした。この本には、380の雀の句が収められています。

雀の句以外では、川島条さんの「空と雲」令和2年に、緑平さんの句が30句載っていました。
その30句は以下のとおりです。

山里の病人の親が大根くれた
こころきまらず雪ふる父の墓にきた
雀生まれている花の下をはく
湯治の米袋かろくなりいる
かわりおうてあせをふく

雀灯の見に登る海が夕焼ける
そら豆うんとならせて山の祭が来た
飯釜押しやって病人にすわる
こんなに雀がいる家で貧乏している
去年の夏帽子で桐の花が咲く

鳥なく日のあたっている山
雀来る草の実うれさせておく
青豆飯でみんな久しぶりだった
泉があるみんな帽子をぬぐ
二月の雀野にも出ず恋に落ちけり

おわかれに来た墓の草ぬいている
山家は星ながら菅に雨ふり
すずめ子をつれ佛の木をいただきにくる
とにかく土筆などたべてふうふでいる
骨壺さげて来てつつみ直している

豆蒔く何かにつけて母の事になる
心入れ換えて落葉掃いている
日暮あわてて畦豆の中の雀がとべり
青葉の中にひとり裸の観世音
膝から蟻をおろしてやる

木が葉をうごかしているくらやみ
これは蕗のとうこれは茗荷の芽
水うって夕べの空を青くした
雪ふる山の鳥に声かけられた
ボタ山の白い雲午後になる