残りの日々を楽しく

そろそろ終活の季節になってきました。残りの人生を前向きに生きていきたいと願って名づけました。

国民の政府への信頼がない国

前回に続いて、福島淑彦さんの「スウェーデンのフェアと幸福」からです。

今回は、コロナウィルス感染症パンデミックに対するスウェーデン政府の対応を見ていきます。

1 専門家によって指揮された感染症対策
2 国民への情報公開と丁寧な説明
3 医療機関の役割分担の明確化
4 有限な医療資源の効率的利用

3番目については、新型コロナウイルス感染者を優先的に治療する病院と通常診療を行う病院とに分けて対応した。その過程で、重症患者の治療に必要な人口心肺装置(エクモ)や人口呼吸器のような医療機器も新型コロナウイルス感染者対応病院に集められた。加えて、感染症治療が専門でない医師や看護師に教育を行ってコロナ感染治療のための医療スタッフが確保された。また、新型コロナ対応病院を特定することで、日本で頻発した救急車の搬送先が決まらず右往左往するということも起こらなかった。

4番目については、国内の集中治療室(ICU)のベッドの空床状況は中央で管理されていて、誰もが閲覧できるようにインターネットで公開されていた。さらにはICUが満室になることを回避するために、社会庁からICU利用の利用優先基準であるトリアージが通達され、実行された。具体的には80歳以上の患者、70歳以上で1つ以上の臓器障害を有する患者、60歳以上で2つ以上の臓器障害を有する患者はICUでの治療を行わないというものである。

まとめると、スウェーデンは最悪の状況を常に想定して行動している国である。スウェーデン政府は起こり得るかもしれないリスクを国民に周知し、常に不測の事態に対する準備を怠らない。また、想定外のリスクが発生した場合には、スウェーデン政府はそのリスクを包み隠さず国民に説明し、そのリスクに対して政府がどのように対応していくのかを国民に示してきた。その姿勢が国民に安心感を与え、国民の政府への信頼を高めているのである。